身欠きニシン料理
福島県では、浜通りの沿岸部ではよく生魚が食べられてきたのに対して、四方を山で囲まれた 会津地方では、海の幸と言えば、むかしは馬の背や荷車などによって運ばれてくる保存のきくものでした。そのため身欠きニシンや棒ダラなどを材料にした、郷土色豊かな料理が発達しました。 身欠きニシンとは、会津地方を初め、他の東北地方でカドイワシと呼ばれることが多い生のニシンを2枚におろして、素干ししたものです。会津、中通りではニシンと言えば、普通、身欠きニシンを指します。茶褐色で身がしまり肉厚、よく乾燥しているものを選びます。 ○にしんの山椒漬け 新身欠きニシンが出回り、山椒の旬である4月から5月頃が作るのに最もいい時期と言われています。 身欠きニシンを、米のとぎ汁につけてもどしたあと、よく水洗いして、腹骨、うろこを取り除いておきます。ニシン鉢という専用の鉢にに山椒の葉をしいて、身欠きニシンを並べていき、これを交互に繰り返して、酢、しょうゆ、酒をあわせたつけ汁をかけ、重石をして1週間から2週間でやわらかくおいしくつかるようになります。 食べる時はそのまま食べてもいいですし、さっと火で焼いてから食べてもいいでしょう。 おかずにも酒の肴にもなり、農繁期の食卓には欠かせないものでした。 ○にしんのすし漬け 身欠きニシン、もち米、麹、春に塩漬けしておいた木の芽を塩抜きしたもの、赤唐辛子、古ショウガで作ります。ニシンは戻してよく洗います。 硬めに炊いたもち米と麹、木の芽を塩を加えてよく混ぜ合わせます。 ニシンとそれらを交互に挟んで、ときどき赤唐辛子、ショウガを加えながら桶に重ねてゆき、1番上に笹の葉をしいて重石をします。 軽く焼いてから食べたほうが美味しいとのことです。 その他ににしんのてんぷら、にしんの昆布巻きなど。 それからにしんを郡山名産の凍豆腐と福島の各地で獲れる筍と一緒に煮物にしたりするそうですが、そのような食べた方は今でも残っているのか確認できませんでした。 参考文献 「郷土料理と美味しい旅」 朝日新聞社
by cuisinejaponaise
| 2007-04-07 16:23
| 福島の食文化、風土
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